『統計・確率思考で世の中のカラクリが分かる』

統計・確率思考で世の中のカラクリが分かる (光文社新書)

統計・確率思考で世の中のカラクリが分かる (光文社新書)

小泉政権下で竹中平蔵のブレーンとして知られた高橋洋一氏が、確率・統計的な思考について解説する。
本の構成としては、前半が統計と確率についての基本的な考え方の解説。後半が東電問題や復興政策についての話。

読んだ感想を一言で表すと「前半部分を掘り下げたほうが面白いのでは?」というものだ。
特にベイズ確率やモンティ・ホール問題の話などは、日常的に生活していて「八割がた大丈夫」みたいな言葉の理論化という意味でとても興味が湧いた。今、日本で確率や統計について、一般の人々にも皮膚感覚で分かりやすく解説できる希有な存在だと思う。

一方、おそらく著者の主眼であると思われる後半については、著者がいろいろな媒体で語っていることをまとめたもので、あまり新鮮味が感じられなかった。統計や確率をからめて書いてはいるものの、ちょっと主題から外れているようだ。ネット上でも『現代ビジネス』などで東電問題や復興政策について慧眼を語られているので、著者の東電問題や復興政策についての提言を知りたければ、そちらを読んだほうが経済的にも優しいかと。

評価的には星4が妥当なところか。考え方の訓練として面白く読むことができると思う。