『グリーンホーネット』

昔のアメリカのテレビシリーズで、ブルース・リーが出演していたことだけで語られる『グリーン・ホーネット』の映画化。監督はまさかのミッシェル・ゴンドリー。ミッシェルですよミッシェル。コレを出版業界で例えるならば、絵本作家がバットマンリターンズを描くようなもの。さてどうなるかと思いつつ映画を観てみると……
これが意外に面白かった。『キック・アス』『マイティ・ソー』『アイ・アム・ナンバー4』と観てきて、この映画が一番主人公のボンクラさ加減が半端ない。ロビン頼りのバットマン、という感じで新しさを感じた。
こういう映画のキモは、主人公がどうやってヒーローになるかを描くか、なんだけれどこれが天才カトーの存在によって軽く一線を越えてしまう感じになってしまう。でも、主人公が超ボンクラなので、簡単に許せてしまうところが新しい。僕はちょっと思い違いしていたのですが、『グリーン・ホーネット』って2人組なんですね。5人組くらいで悪に戦いを挑むのかなと思っていたので、キャメロン・ディアスがいつ覆面姿になるのかが気になりました。
良いところは画。カトーの集中力が高まったときの映像は新しいものを観たという感じでした。主人公のボンクラ思考も。この辺りはさすがミッシェル・ゴンドリーという感じ。作家性が色濃く出ています。アクションもそつなく魅せているのは、ミッシェル・ゴンドリーの新境地といった感じで素直に「やるじゃん!」という感じだった。あと、何でも手作りのガジェット感がとっても面白かったです。
あとは敵役が洗練されていたら良かったのに。ブラッドノフスキーが単なるマフィアなのは、グリーン・ホーネットの世界観からして弱くないか。一人くらい天才カトーに対抗できる怪物的キャラを用意したほうが良かったんじゃないかなぁと思いました。