『バンテージ・ポイント』

久々に面白い映画を見た!
という感じ。スペインで起きた大統領暗殺事件を追うシークレットサービス、一般人、過激派、そして大統領本人による各者各様のストーリーが面白い。ストーリー的に一時間も経っていないんじゃないかと思う話を、ここまで膨らませて複線を張り巡らせて、転がしていくというのは見ていて壮観だった。
【キャラクター】
レックス……スペインでのアメリカ大統領の会合を中継するテレビクルー(たぶんFOX)のプロデューサー。特に重要なキャラクターではないため、オープニングで出場と相成った。でも、テレビ局のクルーに過激派が何人も紛れ込んでいたことに対する責任はとらされそうな気が。
バーンズ……右往左往する人。ドライビングテクニックは超一流。あんな(無謀な)運転を知らない街でしなければならないとは、シークレットサービスの過酷さが伺える。
テイラー……裏切る人。こういう話に内部協力者はつきものだけれど、社会的な地位も成功も約束されたシークレットサービスの立場から、明日もしれない過激派人生を選ぶ理由が分からない。深い考えがあってのことなのか、それとも何も考えていないのか?
ハワード……黒い笑福亭鶴瓶。実際、NHKの番組で釣瓶がやっていることと大差ない。だけど、走って撮影して子供を救ってと大活躍。
エンリケ……騙された人。それはいいんだけれど、あの広場で爆弾を受け渡しておいて「だまされた!」はないだろ! あの前にどういう話があって、あそこに爆弾を持ち込んだのかが知りたい。
アシュトン大統領……こんなに思慮深い大統領なのに、世界中の人から嫌われてて可哀想。九死に一生を得たわけだけれど、側近たちが皆殺しにされてしまい、これからの政権運営をどうするんだという疑問が。とりあえず、大統領警備の体制を考え直すべきなのか。
スワレス……血も涙もないし、ハイテクにも強いテロリストで人を殺しまくるけれども、子供はちゃんと避けて運転します。それはそうと大統領を誘拐してどうするんだ、という疑問が沸く。アメリカ合衆国は議会制民主主義で、大統領が職務できない状態になると、自動的に副大統領が昇格するシステムになっているから、誘拐しても美味しさがあまりなさそう。それよりもさっさと暗殺すれば良かったのに。
ベロニカ……毒婦。人を殺すのをためらうかと思えば、あっさり殺したりする良く分からない人。たぶん、爆弾を放り投げたときに何かが吹っ切れたのかもしれない。
ハビエル……利用されるだけ利用されて死んでしまう哀れな人。弟が死んでいることを知らずに死んだのは、良かったのか悪かったのか。こんなに強い人間がごろごろしているというのに、アメリカの警備体制は薙げば倒れる藁のような人間ばかりだ。