猫殺しとか

まず、このニュースから

<子猫殺し>直木賞作家・坂東さんがエッセーで告白
直木賞作家の坂東眞砂子さん(48)が日本経済新聞に寄せたエッセーで、自身の飼い猫が産んだ子猫を野良猫対策として殺していることを告白し、波紋を広げている。坂東さんはフランス領のタヒチ島在住で、事実ならフランスの刑法に抵触する可能性もある。坂東さんは「避妊手術も、生まれてすぐの子猫を殺すことも同じことだ」との趣旨の主張をしているが、日本経済新聞社には抗議や非難が殺到、動物保護団体も真相究明を求めている。
【鳴海崇】(毎日新聞)

作家の告白としては、ギュンター・グラス氏が元ナチ親衛隊だったというのが世間を騒がせたが、こちらは何というか相当に微妙な話。猫殺しは良いことだとは思わないものの、「犯罪」的な観点で見ればチャチだし、「社会正義」的な観点で見ても、こんなことで抗議や非難が殺到するのは変だと思う。坂東眞砂子氏がどのような見識で猫殺しをしているのかというのは、僕から見ても「変」なわけだが、理解できないというわけでもない。僕が思うに「どの町内にも一人はいるんじゃないの、こういう人」というレベルの話だ。
このことの問題点は、日経新聞なり坂東氏の取り巻きなりが、このエッセーを見て「やばい」という判断をしなかったところにあると思う。そう考えてみると、リスクを軽く見て問題を引き起こした日経新聞の編集者は、センセーショナルなことばかりに気を囚われていて、社会に対する視点を失っているのではないかという気がしてならない。適切ではないことを書いたときにダメ出しをするのは、作家のためでもあるということを再認識したい。