『スーパーマンリターンズ』

アメリカの神話を目撃せよ!
という感じの二時間半。好い加減長いだろうと思ったけれど、夏休み映画としてはこれ以上はないというくらいのブロックバスタームービーだった。ストーリーは「スーパーマン」「スーパーマン2」を引き継いでいることが前提だが、神話なので誰もが知っていると割り切って話が進む。帰還したスーパーマンと、復活したレックス・ルーサーの派手な殴り合いは「ない」ものの、「日本沈没」に着想を得たレックス・ルーサーの「アメリカ大陸沈没」計画に度肝を抜かれる。

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これは旧作のほう。
【私的キャラ解説】
スーパーマン……「さよなら」も言わずに里帰りをしたために、多方面に多大なご迷惑をおかけして、大変申し訳ありませんでした、と思ったのかどうかは定かではないものの、前にもまして平和を守るために邁進する。モスクワで火事を消した一分後に、マニラでコンビニ強盗を撃退するなど、少々働きすぎともいえる気が。帰ってきたスーパーマンが墜落寸前のジャンボジェット機を救う場面は、涙なくして観れない名場面。このテンションが最後まで続けば、と思わないでもなかったが。プラトニックな恋愛に徹していると見せかけて、やることはやっている男でもある。
クラーク・ケント……空気読み人知らずなクラーク・ケント氏は、愛するルイスのためならストーカー一歩手前の行為も平気の平左。でも、性根がぼんくらなために、誰からも警戒心をいだかれない。スーパーマンクラーク・ケントの差が、今回はメガネだけとなったので、そりゃ正体がばれるだろ! というシーンが次から次に出てくるけれども、出演者も(観客も)サトラレと接する気持ちで見て見ぬ振りをする
ルイス・レーン……あ〜煙草を吸っているという設定があったよね、とそればかりが懐かしい。スーパーマンといちゃいちゃする人妻役だけれども、昔の(完璧な)男が急に舞い戻ってきたのは、家族生活を営んでいた本人にとっても痛かったところだろう。『なぜ、世界はスーパーマンを必要としないか?』という記事で、ピューリツアー賞を受賞。怪しい場所に子連れで向かうのは、近年まれに見る愚かな行為だった。勘は鈍いが、かつらを見ただけで、そこがレックス・ルーサーのテリトリーであると気付く。
レックス・ルーサー……悪の大統領! 大統領らしく「かかってこい!」とのたまう*1。演じるのは、ジーン・ハックマンからケビン・スペイシーに。スーパーマンと唯一互角に渡り合う地球人で、血も涙もない極悪人。前回、スーパーマンに成敗されて刑務所送りになったものの、そのスーパーマンが法廷に行かなかったために、証拠不十分で釈放。その後、億万長者の老婆をたらしこんで、全財産を相続すると史上最悪の計画を実行に移す。スーパーマンの力の源であるクリスタルで、あらたな陸地を作り、南北米大陸の大部分を海に沈めるという計画には唖然とさせられるが、新大陸でやることと言えば葉巻を吹かすくらいだったのは如何なものか(振り返ってみれば「スーパーマン」でも新西海岸計画を企んでいたので、土地に対する執着はかなりのもの)。バスローブ姿で歯磨きしながらの登場など、笑いのセンスも超一流。髪の毛と部下には恵まれていない模様。次回作ではどんな悪事を企むのだろうか??
他にも色々いるけれど、割愛。

*1:ブッシュ大統領がテロリストに向かって言った言葉として有名