『ロック・ユー!』

金曜ロードショーで鑑賞。来週は『ルパンⅢ世』だけれども、2006年最大の迷作といわれる『MUSASHI-GUN道』と色々比べられるんだろうなぁと思った。「MUSASHI-GUN道-」地上波で初登場! とか。
『ロック・ユー!』は14世紀ヨーロッパを舞台に、馬上槍試合で名を挙げようとする若者の物語で、歴史物の衣を借りたスポーツものという風変わりな作品だった。「歴史物の衣を借りた」というのは、映画の随所に出てきていて、クイーンの名曲が流れるところもそうだし、ヒース・レジャー演じる主人公もそこらへんの若者とそう変わりない。物語としては王道の王道で、そこそこ纏まっていると言えそう。だけど、肝心の馬上槍試合が魅せる競技としてはショッパイのが問題だった。右と左から突撃槍を構えて、衝突するという競技なんだけれども、優劣のつけ方が見た目に解り辛い。色々と捻った映画ではあるんだけれども、見せ方という点では、あまり褒められたものではないと思う。ただ、ポール・ペタニー演じるチョーサーは笑えた。彼の演技と台詞だけは満点の出来。
色々と思うのだが、史劇というのは『グラディエーター』の以前と以後で分けられるのかなと思った。つまり、CGを駆使して大軍勢の衝突から巨大建造物までを絵にする『グラディエーター』と、セットとエキストラで絵にする『ロック・ユー!』は、同じ頃の映画といっても新旧が明確に分けれる。大人数を駆使した戦争などは映画でも無茶なわけで、そういう点で言えば、CGが史劇に新たな命を吹き込んだといえるだろう。『指輪物語』や『アレキサンダー』など、スケールの大きさを売りにする映画は花盛りだ。そう考えると、『ロック・ユー!』にも派手さがあれば良かったかもしれない。どうせ嘘を嘘として押し通す映画なのだから、中途半端な貧乏臭さは排除すべきだったのではないだろうか。