『ロッキー・ザ・ファイナル』

「本当に作るのか?」と誰もが耳を疑ったロッキー6は、誰もが目を疑う傑作だった! というオチが素晴らしい。ラジー賞は確実と目されていたけれども、意外にもこれがとても面白くて、シャロン・ストーンの『氷の微笑2』に負けてしまったほど(というかノミネートもされていない)。しかし、『ロッキー』というのは、アカデミー賞でスタローンがマーティン・スコセッシロバート・デ・ニーロ(言わずと知れた『タクシードライバー』ね)を蹴り落とした作品なのだ。シリーズ化してどうにもならなくなったけれども、初心に帰って終わらせる方向付けをしたスタローンは偉いと思った。
見所は、人間ドラマで、ロッキー的な特訓の場面は濃くも深くも描かれていない。ニューヨークの下町でそこそこ成功した男という感じのロッキーが、燃えるものを求めて現役チャンピオンと拳を交えるまでの経緯が物悲しい。説教臭い台詞の数々が泣かせる。そして、ボクシングシーン! ラスト辺りのロッキーが立ち上がるシーンは本当に感動しました。「立て! 立つんだロッキー!」てな感じで、ラスベガス中の人間が立ち上がり、僕も立ち上がりたくなった。