『皇帝ペンギン』(その2)

皇帝ペンギン』のプレミアムエディションには、メイキングビデオやドキュメンタリーが付随しているのだけれども、これが本編よりも面白かった。マイナス四十度の世界で生きるペンギンも必死だが、その姿を撮影する監督も必死だ。可愛らしい映像と驚異的な自然の後ろには、六枚もの防寒具を身に着け、撮影機材を乗せたソリを引く男の姿がある。いくら宿営地の近くで撮影していると言っても、ブリザードの中、クレパスの中でペンギンの姿を捉え続けるのは狂気にも似た行為だと思った。監督は「ある詩人が、この世には夢以上の脅威が存在する」と言ったが、それは監督自身にも当てはまる。