『六道使見習大百科』メモ

  • 都市考

『喰人』
百年程前まで、農耕や漁業に従事しない者たちは「喰人」と呼び慣わされていた。「喰人」とは、文字通り「食べるだけの人」を意味する。こういう者たちは、例えば憑依師や狂神、古老、語り巫女など、禁忌とされつつ神聖とも目される存在に対する蔑称であった。天津ヶ原諸国には無数の村があり、村で生きるとは、つまり自給自足の生活を営むということである。自給自足の生活を営む者が、自給自足の生活を営まない者に対して、どういう感情を抱くのか、「喰人」の言葉はそれを端的に表現しているといえた。

『天津ヶ原諸国』