『13人の刺客』

DVDで鑑賞。


十三人の刺客<Blu-ray>豪華版(特典DVD付2枚組)

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【ストーリー】
13人の刺客が暴虐な明石藩主らを皆殺しにする。
第一幕:オープニング〜島田と鬼頭の会話まで
第二幕:落合宿へ出立〜乱戦まで
第三幕:鬼頭との一騎打ち〜ラストまで


【見所】
落合宿での決戦。稲垣吾郎扮する明石藩主の極悪さ。


【感想】
面白いとは聞いていたけれども、予想を超える面白さで大満足。DVDではなく映画館でこれを見たかった!と思える一本だった。


この映画は同名の時代劇のリメイクとして撮られたものだけれど、現代的な映画の見せ方と伝統的な時代劇の手法が見事に組み合わさったものになっていると思う。稲垣吾郎扮する明石藩主は、たぶん漫画『シグルイ』を参考にしているような気がした。もしかしたら『シグルイ』が旧作の『13人の刺客』を参考にしている可能性もあるけれど。


物語的には「敵を待ち構えて倒す」という超単純なものを映画的なスペクタクルで押しまくる作りになっている。序盤からしつこく石藩主の極悪さを入れることで、島田たちが是が非でも暗殺を成し遂げなければならないという目的を際立たせるのも上手いし、参勤交代のルートを推測したり、落合宿を要塞化するなどの必要な手段を講じる場面も良い。


稲垣吾郎は悪役としては満点の役どころだった。この憎たらしさは『アジョシ』のマンソク兄弟に勝るとも劣らないキャラだった。稲垣吾郎の世間一般のイメージを上手く使った配役だったと思う。13人の刺客のほうも良かった。松方弘樹は時代劇俳優としてスゴい殺陣を見してくれるし、それぞれの役回りがとても良かった。なぜか生き返る山の民の妻夫木聡も面白い。斬られ側の明石藩の侍も、乱戦の中で殺しに慣れていくところも描けていたと思う。あの藩主の側近が、最初は取り乱しているのに斬られる直前は侍になっているところは良かった。


現在の日本映画のポテンシャルからすると、これ以上は望めないくらいの映画になっていたと思う。当初の目論見から外れて70人を射殺したあとは、殺しまくるしかないという状況での、10対1の決戦は凄まじかった。100人と戦うことがどういうことか良く分かる。あと、三池監督らしい悪趣味演出も良かった。妻夫木聡岸部一徳を犯すシーンとか面白すぎる。テンポがひたすら良く、恋愛要素が一片もないのも良い。


人がひたすらに斬り殺されるのを鑑賞するという、映画的にもっとも燃える部分に正面から取り組んで、それが見事に成功した作品だと思う。