テレビの話

昨日の小泉純一郎ドラマは、正直、見なくてもよかったなぁという出来だった。まあ、作っているのがテレビ屋だし、これは自民党にも民主党にも国会議員にも配慮しないといけなかっただろうし、また五年間を二時間にまとめるのも非常に無理があったと思う。見所は「亀井静香の演技をする竜雷太が激似」ということと「日テレの政治部は馬鹿の集まり」ということくらいか。
亀井静香のようなインパクトはあるけれども、真似のしどころが難しい人物を、仕草も納得の仕上がりに真似た竜雷太は役者の鑑。それに比べると、他は真似の域にも達していないなぁ……と思った。武部勤はかなり良い感じだった気がする。飯島秘書官が痩せ過ぎなのは、官邸サイドからの圧力があったからなのか(笑) 小泉純一郎を演じた岩城滉一は及第点だったかなぁと思うが、脚本がまず小泉純一郎の内面を書いていないので、行き当たりばったりの決断をする人にしか見えない。
日テレの政治部は、何だか一々驚いたり困惑したりするだけ。大友康平の花粉症は見苦しいだけ。政治部なのに、政権批判とか状況分析とかがないのも「ちゃんと仕事してんのか」と思った。実際はこうではないとは思うんだけれど、五年にわたる長期政権の中で小泉純一郎を見る視線がどう変化していったかを、もっと明確にするべきだったのではないかなと思う。NHKが五十年後くらいに、大河ドラマ化すれば面白いかも。

安倍ちゃんの得意技と民主党

安倍晋三を不安視する人は、右翼的な言動とか、政権運営上のビジョンを示さないことを指摘する。民主党支持者が安倍信三が総理大臣になれば、小沢一郎にとっては組し易い相手ではないかと期待するのと同様だ。今時点で確実なのは北朝鮮に対しては強硬策に出るというくらいで、後は言ってることなどは枝葉の部類に属するようなことばかりだという印象はある。ただ、小泉純一郎ハンセン氏病の裁判の控訴断念に始まり、数々の試練を乗り越えて首相としての適格さを示してきたわけだから、安倍晋三も常に衆目が集まる立場にいるということを忘れずに政権運営すれば、そこそこ長続きするのではないか(ダメなときはダメだろうけれど)
心配なのは、民主党のほうで、小沢一郎では安倍晋三に太刀打ちできないのではないかと思うのだ。「苦戦」を予想される参院選を前にして、何が何でも勝たなければならない安倍晋三にとって、小沢一郎という政治家は叩くには丁度良い「経世会政治どっぷり」の過去がある。安倍晋三の政治家としての危険なスキルは、この人が個人攻撃を躊躇わないところにあると僕は見ている。かつて郵政解散のときに、菅直人北朝鮮のスパイの釈放を嘆願したと安倍晋三が攻撃したように、党首討論などの場で野党党首に噛み付く様が目に浮かぶようだ*1小沢一郎の「豪腕」イメージは、田中角栄から続く経世会政治の上になりたつものだから、ここで「古い野党」vs「新しい与党」という図式が出来上がる。安倍晋三小泉純一郎の路線に乗る限りは、小沢民主党の必敗は免れないだろう。有権者は「新しさ」を求めて野党に投票するからだ。
民主党に必要なのは、まず「勝てる」という無責任な応援に耳を塞ぐことと、自己批判を徹底することだと思う。小沢一郎自民党幹事長時代のことを記者会見で詫びるべきだ(詫びるべき理由がなくても詫びるべき)。そして、郵政民営化に反対して下野した亀井静香らとは距離を置いて、土建屋イメージを払拭する。その上で、民主党が「新しい」集団であることを政策などで堂々と主張すれば、安倍自民党を封殺できると思う。*2

*1:社民党北朝鮮関連で、福島瑞穂土井たか子を吊し上げるのは確実

*2:とは言っても、地道な選挙運動が勝敗を左右するのは今も変わらないわけで、その点に関してだけは小沢一郎に一日の長があるかなとも思う